僕はあの日やらかした…。

人生詰んだと思った瞬間・・・。

今までの人生を走馬灯のように思い出す瞬間・・・。

皆さんはそんな経験をしたことがありますか?

 

2013年1月。

僕は縁あって、今の場所で「こども専門 乗馬クラブ ペピーズ ホース フィールド」を立ち上げることになりました。

(この辺の話はまたいつか。)

今クラブのある場所は伊賀市の高尾という所で、里山に囲まれ、とても自然豊かです。

簡単に言うとスゲー山奥です。

僕はクラブの立ち上げに向けて、荒れ地だった今の場所をせっせと整備していました。

片づけるものも多かったですが、何と言っても自分の背よりも高い萱やススキがあたり一面に覆い茂り、これの草刈りが一番手を焼きました。

手を焼く…。

草を刈っては集め、それを軽トラに積み、近くの畑に捨てに行く。それを延々と繰り返していても、全く終わりが見えてこない…。

僕の体力と気力はどんどんと削られていく一方でした。

そして、その一連の作業を繰り返して2日後・・・。

僕の心の中の悪魔がささやきました。

 

悪魔 (You・・・そんなの燃やしちゃいなよ。)

 

「そ、そうか、せめてこの軽トラに積む作業さえなければ、負担は減るはずだ…。」

僕は悪魔に魂を売ったのです。

そして、今まで軽トラに積んで捨てていた草の山にそっと火を入れました。

「少しづつ燃やせば大丈夫だよね。」

僕はあっという間に燃えていく草を見て、「これは楽だ!」と感動すらしておりました。

しかしその時、思いがけない風がビューッと吹いてきました。

風は火を巻き上げ、まだ刈っていない草の方へ・・・。

パチパチ。

3か所ぐらいから小さな火が起こりました。

「あ、やべ!」

僕は慌てて、バケツに水を汲みに行き、火を消そうと戻った時には…。

 

速きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く

 

僕は何度も燃え盛る火に向かい、バケツの水をかけましたが時すでに遅し…。

辺り一面、火の海と化しました。

燃え盛る炎の中で僕は音のない世界にいました。

まだスタートすらしていないのに…。こんなのってあり?

お父さん、お母さん。あんなに意気揚々と夢を語って、九州を出てきたのに引越し1週間で人生終わりそうです。

 

その時、そばの馬小屋兼自宅の2階にいた妻から

妻:「ちょっと!!!!!大丈夫!!!!」

僕:「大丈夫じゃない!!!!消防車呼んでくれ!!!!」

燃え盛る炎にバケツ1個で立ち向かう僕。

妻が通報して1分もしないうちに遠くから消防車のサイレンの音が。

 

 

火の範囲はどんどんと広がっていき、道を挟んで向こう側は杉林が広がる。

杉林に延焼すれば全国ニュースレベルの山火事になるのは間違いなし。

朝刊には僕の名前が踊り狂うだろう。

僕はまさに火事場のクソ力で近くにあった雨水をためるタンクから水を運び炎に向かってぶっかけました。

通常ではありえないくらいのスピードと運動量で水をかけ続けた結果・・・なんと、火の勢いが収まってきたのです。

そして、とうとう火は勢いを弱め、ほとんど消えてしまいました。

 

時間にして10分ほどだったでしょうか?

 

消防車が到着したころには火はほとんど消え、消防車の力を借りることはありませんでした。

ただ、通報の状況から事態はひっ迫していると判断されたのか、出動した消防車の数は20台近く。

救急車やパトカーも来ていました。

真っ黒になった敷地内で真っ黒になった僕。

まつ毛は無くなり、後ろ髪もチリチリになっていました。

服も焼けコゲ、まるで戦地から生還した兵士のようでした。

 

 

消防隊員「いやーだいぶ燃やしちゃいましたね。」

僕「・・・すみません。本当にすみません。」

消防隊員「これだけの範囲燃やしちゃうと始末書必要ですね。」

僕「・・・すみません。え?始末書?」

消防隊員「はい。後で警察の方が来ますから、指示に従ってください。」

 

あれだけの範囲・・・おそらく、2500㎡は消失させてしまった。(すべて草だけだったが。)

数分もしないうちに警察の方が来られ、僕は生まれて初めて始末書というものを書きました。

 

お巡りさん「~~で、~~~だから、こちらにお名前を」

僕は始末書の書き方を丁寧に教わり、言われるままにペンを走らせた。

お巡りさん「ところでご主人、あなたここで何をされてるんですか?」

僕「ええと・・・子ども向けの乗馬クラブを…。」

お巡りさん「はい?乗馬クラブですか?ここで経営されてるんですか?」

僕「ええと・・・まだオープンする前でして・・・その準備をしている際中にこんなことに・・・。」

お巡りさん「はあ・・・。では、ご主人は今のところ無職ですか?ちなみに乗馬クラブの名前などは決まっておられますか?」

僕「かくかくじかじかで」

お巡りさん「なるほど。わかりました。今回は敷地内だけのことなので、始末書だけですが、延焼した場合は罪になりますので、火の扱いには十分気をつけてください。」

僕「本当に申し訳ありませんでした。」

お巡りさん「あと、この一連のやり取りはすべて報道機関が無線で聞いていますから、明日、新聞にお名前が出るのは覚悟して下さい。」

僕「え?」

 

翌朝の朝刊

『伊賀市高尾で山林火災。1月〇日、伊賀市高尾にある乗馬クラブ ペピーズ ホース フィールド 代表 上迫 直生(30)宅で2500㎡を燃やす火事があり・・・・。』

 

まだオープンしてないのに名前でとるし。

 

朝刊を見て、地元の方がいろんな意味で驚かれたのは言うまでもない。

まだオープンしていない乗馬クラブは、現場を一度見ようと地元の方で大盛況。

おかげで顔と名前を憶えていただけたので、良かったのかなと…。(ひとつも良くない。)

 

今でこそ笑い話ですが、本当に火の怖さを思い知らされたし、人生が終わる瞬間を体感しました。

つまりこのブログでお伝えしたかったのは

「火は恐いよ。」

それだけです。

皆さんも火の扱いにはくれぐれもお気を付け下さい。

 

 

 

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