先日、千葉県野田市で起きた、小学4年生の虐待死事件。

父親の日常的な暴力のことや児童相談所(以下 児相)や学校、教育委員会の対応について、報道がされています。

父親への厳罰や、児相と学校、教育委員会への批判の声が大きくなっていますが、感情は一旦置いて、僕たち大人にできることは何なのかを冷静に考えたいと思います。

児童虐待とは何か?

児童虐待という言葉が独り歩きしていますが、虐待には以下の定義があります。

① 身体的虐待

その名の通り、殴る、蹴る、投げ落とす、やけどを負わすなど。

② 心理的虐待

汚い言葉を浴びせる、兄弟間で差別する、子どもの前で家族に暴力をふるうなど。

③ ネグレクト(育児放棄)

十分な食事を与えない、家に閉じ込める、病気になっても病院に連れて行かないなど。

④ 性的虐待

性的行為の強要、性的行為を見せるなど。

大きくこの4つに分けられます。

児童虐待の現状

児童虐待に関する児相に寄せられる相談件数は年々増え、昨年では13万件を超えるとも言われています。

そして、虐待により命を落とす子どもの割合は圧倒的に0歳以下が多く、60%近く。

また、加害者となる親の割合は実母が60%近く。

つまり、児童虐待の多くは生まれてすぐに子どもを遺棄してしまうケースが圧倒的に多いんです。

児相に寄せられる相談件数で最も多いのが、心理的虐待に関して。

次いで、身体的虐待とネグレクトが同じ割合ぐらいです。

性的虐待に関しては、見えにくい部分が多く、本人からの相談もハードルが高いことから、実数がどこまで反映されているかは正直分かりません。

児童相談所の役割と現状

児相は主に子育てに関する相談や、障がいのある子へのサポート、児童の一時保護などが主な仕事内容です。

子育て全般の相談を受けながら、児童の一時保護などもになっているのが児相です。

一時保護される児童は虐待のケースだけでなく、親が病気になったり、事故で亡くなったり、親が逮捕されてしまった場合など様々な事情があります。

児相で主に働いているのは児童心理士や児童福祉司の方たち。

どうしてもテレビやドラマの影響で、お堅いイメージがありますが、現場で働いている方には若い方も多く、明るい雰囲気です。(僕は三重の方たちしか知りませんが。)

平日は膨大な数の相談件数に対応し、土日は里親の研修や施設研修など、かなり多忙な日々を過ごされています。

はっきり言って、児相の職員の方は精力的に動いていますし、子どもたちの為に身を粉にしながら働いています。

支援と保護(介入)。そして啓発活動。

昨今では、過去の虐待事件の教訓から、児相内でも支援と保護(介入)を分けて対応する所も出来てきているそうです。

もちろん、まだまだ問題はあるのでしょうが、児相も手をこまねいているわけではありません。

養育里親という選択

僕は一昨年、三重県の里親制度を利用し、養育里親に登録しました。

5日間ほどの研修で登録できるのですが、「里親」に対しての理解がまだまだ進んいでいないように感じます。

里親には4つの種類があります。

※ すごくざっくりとした説明です!

① 養育里親

要保護児童を一時的に養育する里親。養育里親は養子縁組を目的としません。あくまでも親権は要保護児童の親にあり、事情に応じて、

短ければ数日。長ければ数年の間、一時的に親に代わって養育を行う里親のことです。

② 専門里親

虐待を受けたり、要保護児童に障がいがあったり、一定の専門性を必要とする児童を養育する里親です。

養育里親として3年以上の経験や専門的な研修が必要です。

③ 養子縁組里親

保護者のいない子どもや養育困難で親権を放棄するのが明確な場合の養子縁組を前提とした里親です。

児童が6歳未満の場合は特別養子縁組制度により、裁判所の判断で、実子としての入籍が可能です。

ただ、かなりの手続きを踏まなければなりません。

④ 親族里親

3親等以内の親族の親が死亡、行方不明などで養育ができない場合の里親のことです。

 

僕が登録した養育里親とは、簡単に言えば、一時的に親元で暮らせない子を、短期間養育する里親です。

よく、里親で誤解されがちなのが、預かった子どもを一生世話しなきゃいけないとか、里親に登録したとたんに子どもを迎え入れなきゃいけないと言う誤解です。

全然そんなことはなくて、その時の家庭状況に応じて、預かれないこともありますし、タイミングの問題もあります。住んでる地域によっても違うので、養育里親としての役割は様々です。

また、地域によっては里親に登録していなくてもできるホームステイ制度等もあります。児童養護施設での学習支援ボランティアなども募集しているところもあるので、興味のある方はお住まいの地域の児童相談所へお尋ねください。

里親研修は楽しい

これ、誤解されてしまいますが、里親の研修は決して、重々しく、難しいことをするわけではありません。

あまり内容は詳しく話せませんが、里子に限らず、子育てに必要な知識を学べたり、実際に里親をされている人の話など聞けたり、グループディスカッションをしたりと楽しい雰囲気の中で研修が進みます。

里子を預かる際に、一番の壁が、里子がする「ためし行動」。

里子は新たな環境、世話をしてくれるであろう大人を前にして、最初は問題なく過ごしていても、徐々に本来の姿を見せ始め、大人の愛情を試しに来る。

わざとご飯をこぼしたり、スーパーの買い物の際にカゴにありったけのお菓子を詰めてきたりなどなど・・・。

この行動が里親をかなり疲弊させるようですが、やはり親元を離れる事情のある子は親の愛情が足りないケースが多いので、大小あれど、必ず行う行動のようです。

そして、僕にとって貴重な体験になったのが、施設実習。

某養護施設で、2日間、子どもたちと寝かしつけの時間までを一緒に過ごすのですが、とても楽しかった。そして、勉強になった。

何が?…が言えないのが苦しいのですが、施設の工夫と子どもたちとの関わりはとても貴重な体験となりました。

養育里親の現状

全国に12,000人近くいる養育里親。

ただ、実際に里子の委託率は全国平均わずか15%弱。

なぜこんなに委託率が低いのか?

理由は様々ありますが、日本では「親権」が非常に強く、里親への委託には実親の同意が必要です。

施設には預けるが、里親だけは無理だ。という親が多いのが現状です。

これがかなりの障壁になっているのは間違いなく、一時保護に置いても、うまく保護できないのはこのためとも言われています。

あとは、実際に里親登録していても一時休止されている方もいたり、マッチングがうまくいかなかったりするのも委託率を下げている原因と言われています。

僕が養育里親を選択した理由

僕は普段、子どもたちに乗馬のレッスンをしています。

日々の子どもたちの関わりの中で、僕はいつも子どもたちから幸せをもらっています。

そして僕のミッションは「子どもたちをしわせにすること。」です。

僕は子どもたちのおかげで生きているし、様々なことに挑戦できています。

子どもたちと関わることを生業としながら、苦しむ子どもたちがいる現状に目を背けることはできない。

僕がこの世で一番不幸だと思うことは「愛されるべきものに、愛されない。」ことだと思います。

ましてや、愛されないどころか暴力を受け、命を落とすなんて、絶対にあってはならないことだと思います。

だから、児童虐待に魂で立ち向かうことを決意し、その一歩目として、養育里親を選択しました。

それぞれにできることを

僕は養育里親という道を選択しましたが、子どもへの関わり方は人それぞれだと思います。

虐待のニュースを聞くたびに、心痛め、眠れない日々を過ごす。

自分の無力さを責めるが、焦ってはいけないと言い聞かす。

きっと僕と同じような想いを持った方はたくさんいると思います。

みんな、心を痛めて、自分にできることはないのかと自問自答をしていると思います。

みんな、やさしい。

だから、まずはできることから始めればいいのかなと思います。

児童虐待について調べる、隣の子に声を掛けてみる、地域のイベントに参加する、道路の見守りをする、PTAに入る。

人それぞれ、問題意識を持って、小さな行動から始めることが、大きな力になると心からそう思います。

最後に

児童虐待は絶対に許されない問題です。

ただ、漠然と虐待に立ち向かうのではなく、問題の本質に向き合うことです。

虐待という言葉ですべてを括っているのにも違和感があります。

子どもを少し叩いたら虐待なのか?大きな声で叱ったら虐待なのか?

この虐待という言葉で、苦しんでいる親がいることにも目をそらしてはいけません。

悪親から子を引き離す。

これに目が行きがちですが、親子で苦しんでいる家庭が多くあります。

親が虐待を受けていて、子どもに虐待をしてしまうケースだって少なくありません。

親も含めた、包括的な理解と支援が必要とも感じています。

また、今回の千葉県野田市の虐待事件のように、ひっ迫している状況の子どもを守れていないのも、現状です。

これは子どもを守る仕組みそのものから、変えていかないとまた同じことを繰り返してしまいます。

個人ではできることに限界があるかもしれません。

そして失った命は2度と帰ってくることはありません。

僕たちにできることは、このような悲劇を2度と繰り返さないように、それぞれができることを精一杯やって、子どもを社会全体で育てていく意識を高めていくことです。

 

子どもは子どもでいてくれるだけで、僕らを社会を幸せにしてくれるんです。

 

子どもは大人が守る。

 

それでだけです。